Lost Sailor

僕たちはもうずいぶん長い間歩き回っていた。
何も話さず、ただただ気が晴れるのを待つかのように、そしてまた何かが溢れ出しそうになるとそれをかき消すかのように歩みをはやめた。
彼女は時々うっとおしそうに僕の方を見たが、ちゃんと後ろにいるか確かめているようでもあった。
僕は彼女について行くのがイヤだった、イヤでイヤで仕方なかったが、その足は彼女の後を追っていた。

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